雑記

うんこもれそうな時にイベント発生するのやめろ

それはよく晴れた昼下がり
信号待ちでぼんやりしていると

(これは…)

便意だった

小ではなく大の方だ

しかしこの時、もう1つの問題が同時進行していた
ガソリンの残量が底をつきかけていたのだ

便意を抱えたままガス欠のバイクを押す事態だけは避けたい。幸いにもガソリンスタンドは目と鼻の先。華麗な左折でスタンドに滑り込む

その日はヤケに混んでいた。トイレを借りようかと思ったが、踏ん張れそうだったので帰宅にかけることにした。やはり慣れた空間で落ち着いてしたいものである

バイクを停め、タンクの蓋を開け、給油機の操作パネルに触れようとしたその時、足元にあるものを見つけてしまった

セミだ
給油機の前でひっくり返っていた

(死んでる、のか?)

なぜその場所なのだ
自分はセミが得意ではない

生きているのか死んでいるのかよくわからず、うっかり近づこうものなら不意打ちのように暴れだす。心臓に悪いことこの上ない。特にこんな時に絶対に会いたくない相手だ

おそるおそる様子をうかがう
ピクリとも動かない。ただのしかばねのようだ

やれやれ

何はともあれ先を急がねば
腹の主は機嫌が悪い

さっそく給油機を―――

「あーっ、すみません!」

店員が声をかけてきた
若い。学生バイトだろうか


店員「ウサッピィカード、作りませんか?」

ワイ「いえ大丈夫です」

店員「今の給油、3円引きになりますよ!」

ワイ「いや急いでるんで」

店員「30秒で作れますよ!」


グイグイくる店員
ノルマでもあるんか

つかウサッピィカードってなんだよ
そこは出光なんだからRポイントカードだろ!


店員「すぐ作れますよ!ぜひ!」

ワイ「いや…」

店員「お得ですよ!」

ワイ「(めっちゃ食い下がりよる)」

店員「3円引きですよ!」

ワイ「(せや!)」

ワイ「あ、次クルマで来た時にしますわ」

店員「そうですかー」


残念そうな店員。すまんな
手早く給油を済ませてスタンドを後にする

自宅まであと少しのところで信号に引っかかる
いやまて大丈b―――ばない

マズい
大きな波が来てしまった

うっ、これは、ま、まて、大丈夫だ、大丈夫。あと2キロなんだ。よーしよしよしいい子だ。い、いや、ダメか?ダメなのか?うん、まだいけs…いやダメか…うん、だいじょ…いや、うん、いや、うん、いや、いや、いや、くっ…鎮まれ!鎮まりたまえ!さぞかし名のある腹の主と見受けたが、なぜそのように荒ぶるのか!

腹にグッと力を込める
1秒がおそろしく長い
いやな汗が吹き出る

青だ

アクセルをふかす。前方に、ちらとファミマが見えた。チャンス!と思うと同時に、数日前の出来事がふと脳裏によぎる

「感染症対策のため、当面の間、トイレを閉鎖します」

事態は一刻を争う。家はもうすぐだ。ここは確実な方をとるべきだろう。えい、えいと腹に力をこめる。便意はいよいよふくれあがる。腹の主がもうそこまで来ている

しかし現実は非情だ
またもや信号に引っかかってしまう

ああ!ああ!セミを避け、店員をやり過ごし、ここまで突破して来た。おまえは欲を出したばりに脱糞するやもしれぬ。もう間に合わないかもしれぬ。本当はベストを尽くすべきだったのだ。いつだっておまえはそうだ。誰もおまえを愛さない―――

力を失う括約筋
すると

ぷすぅ~~~

すかしっぺだった
腹は、少しばかり軽くなっていた

ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。

いける。いこう。

わずかながら希望が生まれた。心身が弱っているときは、ふいとあんな悪い風に考えてしまうものだ

(まだだ、まだおわらんよ…!)

青と同時に一気に加速
あと数百メートル

この角を曲がれば家だ
バイクをとめてトイレに駆け込み便座に座る


かくして名もなき男の尊厳は守られたのであった

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