かつて安城には海軍の航空基地がありました。
ここでは遺構の場所についてまとめてます
探索時の状況は別記事で↓
【まとめ】明治航空基地の遺構 ←今ここ
・明治航空基地・その1 (2020-06)
・明治航空基地・その2 (2020-0)
【博物館】安城市歴史博物館に行ってきました
1:明治航空基地とは
=所属部隊=
- 第三四五海軍航空隊(通称:光部隊)
- 第三四一海軍航空隊
- 第二〇一海軍航空隊
=配属されていた機体=
- 零戦、紫電、天山、彗星、彩雲、月光など
明治航空基地は海軍の飛行場として建設されました。
安城の北東にあった岡崎航空基地はほぼ同時期に計画されたものです。
1943年、海軍は愛知県明治村(現・安城市)にて着工。
1944年から一部が未完成のまま運用が開始されます。
滑走路6本、誘導路1本、計7本というかなり大規模な飛行場でした。
コンクリートと三和土で舗装されていたそうです。
三和土は「たたき」と読み、赤土・砂利などに消石灰、にがりを混ぜて練り、たたき固めた素材のこと。セメントの代用品として使われ、現代でも住宅の玄関などに用いられています。
戦後は農地に戻りましたが、コンクリートの撤去が大変だったのか至る所に開拓記念碑があります。
最盛期には217機、隊員4078名が所属していたとのこと。
もしかすると半田や大府で作られた機体が配備されていたかもしれません。
2:現存する遺構
【現存確認:2020-06~2020-08】
遺構はそこそこ残っています
=遺構一覧=
- 1:燃弾庫A
- 2:燃弾庫B
- 3:油蒸留場跡
- 4:石碑
- 5:防空壕その1(現存せず)
- 6:弾薬庫A
- 7:弾薬庫B
- 8:防空壕その2
- 9:地下発電所
- 10:燃弾庫C
- 11:燃弾庫D(現存せず)
- 12:???
- 13:門柱(現存せず)
- 14:門柱
- 15:格納庫基礎(現存せず)
1:燃弾庫A
クリックで拡大できます
老人ホームひがしばたの一角に残っています。
周りは草木でもっさもさ。
案内版もあり、保存状態は良好です。
2、3:燃弾庫B、油蒸留場跡
燃弾庫と油蒸留所跡です。
ここは畑や田んぼもあるので立ち入り厳禁。
歩道からそっと写真を撮るだけにしました。
4:石碑
燃弾庫と油蒸留場跡のすぐ近くの東端公園にあります。
石碑には地図と説明も載ってます。
公園入口にも石碑があります。
忠魂碑?と土地改良碑がありましたがクモの巣が多くて接近できず
クモ苦手なんよ..
5:防空壕その1(現存せず)
東端公園の場所には当時指揮所があり、避難用の防空壕があったそうです。
現在は民家が建っています。
6、7:弾薬庫A、弾薬庫B
レンガ造りの弾薬庫。
道路を挟んで2つ残っています。
片方は破壊されたのか損傷が激しいです。
落ちてたレンガに刻印はありませんでした。
8:防空壕 その2
弾薬庫の近くに防空壕があります。
1回と2回目の探索では見つけられず消失したと思っていたのですが、ツイッターで盡忠報国さんにご教示いただき現存確認ができました。感謝感激です!
安城再々訪!
— またたび (@matatabi_02) August 8, 2020
盡忠さん @yuukyuunotaigi のおかげで明治航空基地の防空壕の現存を確認。水田の影響か内部は浸水していました pic.twitter.com/1iZvqoBK0y
通気口がいくつかあります。
穴はすべて埋まっているかと思いきや、1か所だけ埋まらずに残っている箇所がありました。
小石を落とすと水の音。
せっかくなので内部の高さを知るために落下時間を測ってみました。
計測時の基準はこの2つ
- 落としてから音がするまで
- 落とすのは通気口のすぐ上
ほぼ1.2秒でした
(途中で落としてスマホが砂まみれ)
自由落下:高さh (単位:m) = 1/2gt^2
重力加速度g=9.8、時間t=秒 です
高さh = 1/2・9.8・1.2・1.2
高さh = 7.056m
いや意外と広いな?
あくまで水面までの距離なので実際はもっと深いかもしれません。
こんな時に物理が生きるとは..
空母欲奈さんのブログでは住宅内の様子が掲載されています。
9:地下発電所跡
爆撃を受けても停電が起こらないよう、発電機を置くための地下設備がありました。
防空壕は見つけられず。新築の家があり位置的に潰された可能性が高そう。地下発電所は健在でした pic.twitter.com/gUWzZLHPB3
— またたび (@matatabi_02) July 22, 2020
また当時の模型が当時の模型が安城市歴史博物館に展示されています。
10:燃弾庫C
住宅地の基礎と一体化しています
草木におおわれ、パッと見では分かりません
下調べ時に写真をじっくり見て覚えていたので気づくことができました。
遺構探索はバイクが1番。疲れるけど。
偶然見つけたが、これは分かっててもキツイ pic.twitter.com/Je9s3T9HeS
— またたび (@matatabi_02) June 28, 2020
11:燃弾庫D(現存せず)
駐車場になっていました。
残念。
安城の明治航空基地跡を再訪。マーメイドパレス前の燃弾庫は完全に撤去されたっぽい(´・ω・`)基礎に埋もれてる方は草が刈られて見やすくなってました pic.twitter.com/XIEgbjjRLX
— またたび (@matatabi_02) July 22, 2020
12:???
マーメイドパレスから少し離れた場所にある、ゴルフ場の裏手にて発見。
資材置き場の入口にありました。
なんだこれ(なんだこれ)
レンガをコンクリで固めたようです
基礎、かな??
とりあえず残してくれたことに感謝!
崩れたレンガも上に積まれています
資材置き場の外周を回ると、フェンス沿いに似たような物が。
あやしい…
もしかしたらコレの中身もレンガだったりして
ストリートビューだと資材と被ってて見づらいです
13:門柱(現存せず)
明祥中学校の正門は基地時代の門柱が流用されていたらしいです。
現在は新しいものに変わっています。
祐実総軍三等兵さんのサイトによると2015年の時点では現存していた模様。
14:門柱(2対)
明祥中の西側、交差点近くの出入り口に門柱が2対ありました。
埋もれてて文字は読み取れず。
戦前の物のようです。
明祥中では門柱を2組発見。「高等」と「昭和六年」以外は読み取れず pic.twitter.com/39Y2MlMnzl
— またたび (@matatabi_02) July 22, 2020
15:格納庫基部(現存せず)
明祥中の北東に格納庫の基礎が残っていたらしいのですが、道路の拡張工事で埋められたそうです。
こちらのサイトで当時の写真が見れます。
3:安城市歴史博物館
安城市歴史博物館には地下発電所の模型が展示されています。
明治航空基地の展示があると聞き、今日は安城市歴史博物館に行ってきた。企画展もやっていて大収穫! pic.twitter.com/WWWEQOXD2S
— またたび (@matatabi_02) August 26, 2020
博物館の受付では明治航空基地と岡崎航空基地の図録が売っています。
1200円とお手頃でなかなかの情報量!
ぜひ買いましょう。ぜひぜひ。
企画展と明治航空基地の図録を購入。写真が豊富な上に展示物も全て載ってていい感じ。小倉工廠で働いていた人の手記が展示されており、表紙には工場疎開で移転した日田製造所の名称?が書かれていた。もちろん図録収録。ここら辺の正式名称は未確認のものが多いので地味に嬉しい(*´ω`*) pic.twitter.com/Z8lOPIQdfO
— またたび (@matatabi_02) August 26, 2020
遺構からかなり離れていますが、市バスが運行してるため遠征勢の方でも安心。
博物館で配ってるパンフレットはPDFでもDLできます。
=所在地=
安城市歴史博物館
〒446-0026
愛知県安城市 安城町城堀30
駐車場:たくさん
・遺構へのアクセス
JR安城駅から「あんくるバス」というコミュニティバスが運行してます。
あんくるバス 路線図(公式サイトPDF)
運賃は一律100円
激安です(笑)
=乗り換え参考=
- 歴史博物館:1の安祥線
- 明治航空基地:3の南武線
- 両方行きたい:安城更生病院で乗りかえ
JR安城駅から乗ることができ、東端公園の石碑や燃弾庫の近くまで行けます。
「折り畳み自転車を担いでバスに乗る」という手もアリかも?
車かバイクがあれば余裕で回れるので、駅でレンタカーを借りるか、地元の知り合いに頼んで連れて行ってもらうのが吉。
安城駅から徒歩5分のところにあるニコニコレンタカー安城朝日町がオススメです。ここで4-5回ほど借りましたが、対応がよく、いいお店でした。
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【まとめ】明治航空基地の遺構 ←今ここ
【遺構探索】明治航空基地・その1 訪問日:2020-06
【遺構探索】明治航空基地・その2 訪問日:2020-0
【博物館】安城市歴史博物館に行ってきました【愛知県】
・参考文献など
1:お世話になったサイト
=公式HP=
安城市:明治航空基地
国土交通省:国土地理院 空中写真閲覧サービス
=個人HP・ブログ=
kanレポート 様(2016年)
underzero 様(2008年)
裕実総軍 戦争遺跡データベース 様(2015年)
-廃虚日常記録帳- 様 (2014年)
チャレンジハイク in愛知 様(2003年)
ASAの春休み日記 様(2016年)
空港探索 様 (解説)
とても参考になりました。
ありがとうございます!
2:参考文献
パンフレット:安城歴史の散歩道
図録:安城市歴史博物館「戦争のなかに生きる」